【元ツアコンが語る!】シリーズでは、添乗員の仕事を詳しくお伝えしています。
こんにちは!manaです。
”旅行は上手くいって当たり前”で、スケジュール通り行って帰ってくるものだと思っている方が多いと思います。
実は、目に見えないところで、小さなトラブルやアクシデントが発生していますよ。
今回は、少し珍しいアクシデントについてご紹介したいと思います。
実際に私が経験したアクシデントは、新穂高ロープウェイの頂上でのことでした。
ぜひ最後まで読んでみて、添乗員の仕事に触れてみてもらえると嬉しいです。
新穂高ロープウェイはアトラクション?!
岐阜県・奥飛騨にある新穂高ロープウェイは、日本唯一の2階建てゴンドラで2,200メートルの山頂まで登ることができます。
個人的には、一番怖いロープウェイです。
標高の高さ、2階建てゴンドラの高さ、支柱を通過する時のゴンドラの揺れ。
スリル満点で、まるでアトラクションに乗っているかのようですよ。
そんな恐怖?を乗り越えて後に見られる景色は別格です。
北アルプスを臨める素晴らしい風景が広がっていて、四季折々の風景が楽しめるので、ぜひ訪れてみてくださいね。
山頂で心停止?!
その時のお客さんは、ある老人会の旅行でバス4台口の旅行でした。
初日に新穂高ロープウェイに登り、奥飛騨温泉郷に宿泊し、翌日に高山市内散策するコースでした。
全員が山頂の西穂高口駅に到着し、展望台や売店などのフリータイム。
お客さんからの「添乗員さーん!」と呼ぶ声が聞こえたので駆け付けると、おじいちゃんが倒れていたのです。
息をしていないように見えます。
「えっ?!」と思う間もなく、常駐していた(?)山岳ガイドさんが走ってきてくれて、蘇生措置を始めてくれました。
私は急いで、ロープウェイ会社の方を捜し、ふもとの駅に救急車を呼んでもらうように依頼しました。
他の添乗員は、幹事さんにおじいちゃんの氏名と、同行者がいないかの確認に動いてくれました。
緊急ロープウェイで山麓へ
山頂には、緊急事態に備えて救命セットや、担架などが置いてあるのだと、その時に知りました。
おじいちゃんを担架に乗せて、ロープウェイまで運びます。
臨時便を出してくれ、山岳ガイドさん、ロープウェイ会社の方、私が乗車しました。
おじいちゃんは、ロープウェイの中で意識を取り戻してくれました。
迅速に対応してくれたロープウェイ会社の方と、蘇生措置してくれた山岳ガイドさんに本当に感謝です。
バンドに気を付けて!
意識を取り戻したおじいちゃんが発した言葉が、「腰のバンドを外して」でした。
「えっ?!」と顔を見合わせた私たち。
服をめくってみると、なるほど、腰痛の方がよく巻いているバンドが、胸の方までずり上がっていたのです。
つまり、バンドで息苦しくなり、酸素が薄い山頂で呼吸ができなくなって倒れてしまったのでした。
救急車はお手の物?!
新穂高温泉駅にスタンバイしてくれていた救急車で、高山市内の救急病院に同行します。
ロープウェイを降りたときには、おじいちゃんも元気になっていましたが、念のため診てもらいます。
私は添乗員になって初めて救急車に乗りましたが、その後も何度か乗る機会がありました。
あまり嬉しくないですが、救急車に慣れていたので、救急隊に必要な情報を提供し、スムーズに救急搬送されました。
運命の再会?!
病院で診てもらいましたが、何ごともなく安心しました。
タクシーで宿に向かい、ちょうど宴会中だった老人会の皆さんに合流します。
宿に到着すると、他の添乗員と女性が一緒に待っていてくれました。
その女性とは、おじいちゃんの彼女でした。
実は、ロープウェイのゴンドラ内でおじいちゃんが「彼女に心配をかけた」と言っていたのです。
「いや、私も心臓止まるかと思ったけどね。彼女の話できるくらい元気なら大丈夫やん」などと、心の中でツッコんでいた私でしたが。。
80代のおじいちゃんと50代の彼女が、仲睦まじい様子でお話している姿を見るとほっこりしましたね。
翌日の高山市内の観光も、二人並んで歩いてる姿を見かけて、心からホッとしたのを覚えています。
後になって、他の添乗員に「おじいちゃんより、顔面蒼白だったよ」と言われてしまいました。
焦ってはいけないと言い聞かせていたけど、命に関わる状態を目の当たりにすると、顔に出てしまっていたのが、反省点ですね。
山頂で倒れたおじいちゃんの心停止の原因は、腰バンド。
意識を取り戻して、すぐに思い出したのは彼女のこと。
笑い話にできて本当に良かったです。
まとめ
いかがでしたか?今回のトラブルは、滅多に遭遇することのないアクシデントだと思います。
添乗員の仕事は、安全に旅程を管理することだと、何度もお伝えしてきていました。
安全って当たり前ではなく、色んなトラブルを経験すればするほど、安全の大切さが身に染みて分かるようになります。
さて、次回は、中学生の語学研修に添乗した時のお話をご紹介したいと思います。
行き先は、アメリカ西海岸サンフランシスコです。お楽しみに!
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