【元ツアコンが語る!】添乗員の実際の仕事内容を解説します~飛行機トラブル編~

添乗員

【元ツアコンが語る!】シリーズでは、添乗員の仕事を詳しくお伝えしています。

こんにちは!manaです。

”旅行は上手くいって当たり前”で、スケジュール通り行って帰ってくるものだと思っている方が多いと思います。

実は、目に見えないところで、小さなトラブルやアクシデントが発生していますよ。

今回は、飛行機トラブルについてご紹介したいと思います。

実際に私が経験した飛行機トラブルは、オーストラリア・ケアンズから日本へ帰るときのことでした。

ぜひ最後まで読んでみて、参考にしてもらえると嬉しいです。

ケアンズに修学旅行?

私立高校の修学旅行でケアンズに5日間滞在しました。

海外の修学旅行では、全クラス一緒に行くには人数が多すぎるので、班を分けて行くことが多いです。

その時は2班目で、旅行会社社員のチーフ添乗員とサブ添乗員の私の2名で、150名の高校生を引率していました。

ちなみに、ケアンズは人気の高い観光地ですよね。

世界自然遺産に登録された場所が2ヶ所あり、山と海と両方一度に楽しめます。

自然豊かなケアンズですが、街並みも素敵ですよ。

さぁ、離陸!・・しなかった

楽しい思い出を胸に、ケアンズから日本へいざ帰国です。

後部座席をほとんど修学旅行生が占めている飛行機は、出発準備が整い、滑走路へ向かいます。

離陸前のエンジンの加速する音が聞こえ、Gで体が座席に押し付けられます。

さぁ、離陸!というタイミングで、エンジン轟音が小さくなってきたのです。

ゴォォォォォォと鳴っていたエンジン音が、シュゥゥゥゥと明らかに音を変えました。

離陸のタイミングはいつも私は寝ているのですが、さすがに目が覚めましたね。

そして、このタイミングで、当分日本に帰れないと悟りました。

隣のチーフ添乗員を見ると爆睡中です。とりあえず、目の前のCAさんに現状確認をしました。

ありがたいことに、非常口座席だったので、CAさんとコンタクトが取りやすかったです。

機内アナウンス前に情報を教えてくれて、次の動きを迅速にとることができました。


添乗員にとって、情報はとても大切です。

お客さんと同じタイミングで情報を得ると、不安になったお客さんに対応できません。

できるだけ早く正確な情報を入手することで、先に手を打っておくことができ、お客さんに安心してもらうことができます。

空港内で待機!

CAさんに許可を取って、ケアンズに滞在中の営業担当者に携帯電話で連絡しました。

エンジントラブルで飛行機が止まったこと、エンジントラブルが解消するまで空港内で待機することを伝えました。

隣のチーフ添乗員は、この状況でもまだ寝ていたので(!)、そっとしておきました。

その後、機内アナウンスで乗客に周知され、機内はザワつき始めました。

チーフ添乗員も目覚めてくれたので、現状説明と飛行機を降りてからの打ち合わせをしました。

CAさんから、ミールチケットの配布があると教えてもらったので、150人分の食糧確保に動きます。

航空会社が要因で、飛行機の遅延・欠航となった場合は、食事や宿泊場所を提供をしてくれます。

今回は、トラブル解決後に再度飛行する可能性があったので、とりあえずは空港内で使用できるミールクーポンを配布されることになりました。

食料争奪戦!~高校生は食べ盛り~

飛行機を降りて、広い場所でクラスごとに並んで座ってもらいます。

ちなみに修学旅行では、集合場所に使える広い空間が必須で、常に目はスペースを探しています。

他の団体で駅や空港を利用する時も、ついつい集合場所に良さそうな場所を探してしまいます(笑)

先生方に状況説明と今後の対応について打ち合わせをた後、生徒に待機時間中の行動について説明します。

ケアンズ空港は、自由行動しても行方不明になることはない小さな空港で助かりました。

大きな空港であれば、生徒の動きを把握するのが難しくなりますね。

ミールクーポンの準備ができたとグランドスタッフから声が掛かりました。

これも、予めグランドスタッフにお願いしていました。

グランドスタッフやCAも団体客をコントロールする添乗員には協力的ですよ。

団体客は添乗員に任せて、他の乗客の対応に集中できるからです。

見渡す限りでミールクーポンを利用できそうな場所は3ヶ所。

小グループに分けてミールクーポンと軽食を交換してもらいます。

アレルギーや好き嫌いに配慮しつつ、他の乗客の迷惑にならないように誘導します。

売り切れそうになる前に、他の売店に別のグループを誘導します。150人分繰り返し、声が枯れてきました。

私たちの分も何とかいただけて、小休止です。

日本に帰れる?帰れない?

添乗員の仕事は、安全に旅程管理をすることで、そのために、2歩先を考え行動することです。

私たちが食料争奪戦をしている間、現地滞在中の営業担当者はケアンズのホテルとバス3台の手配を進めてくれました。

万一、欠航になった場合は、翌日以降の便に振り替えられるからです。

そして、日本にいる旅行会社の社員は、150人のご家庭に連絡をしてくれていました。

まさに総力戦です。

現地でも日本でもサポートしてくれる人たちがいるから、添乗員も安心して目の前のお客さんに全力投球できるのです。

チーフ添乗員は、先生方や上司との連絡係、私は情報収集係と役割を分けて、小さい空港内を走り回っていました。

「エンジントラブルが解決したので、飛びます。」とグランドスタッフが教えてくれました。

生徒を再集合させて、搭乗準備を始めます。

団体客は後部座席を割り当てられているため、他の乗客より先に登場します。

後ろの座席順に並び、スムーズに搭乗できるようにしておくのです。

余談ですが、新幹線乗車時も同様にします。停車時間が短いので、迅速に乗車しなければなりません。

新幹線は前後のドアから乗車するため、中央座席の生徒から順番に並んでおきます。

いよいよ離陸!

全員搭乗して、再度、離陸体制に入ります。

帰れることに心の中で喜んでいたのですが、エンジン音が轟き始めたとき、急に怖くなりました。

「エンジン本当に大丈夫?!」

エンジントラブルが解決したとはいえ、同じ機材のまま。また止まるのではとドキドキしてきました。

いつも、離陸のGに任せて寝てしまう私ですが、怖くて寝られませんでした(笑)

何とか無事に?!日本に向けて離陸することができました。

4時間遅れの出発でした。

日本到着!でも・・?

機内では生徒も疲れ果てて、大人しくしてくれていました。

修学旅行生が乗った飛行機に乗り合わせたことありませんか?

離着陸時に、大きな歓声が上がります。あまりの大きさに初めて聞いたときは飛び上がって驚いたことを覚えています。

素直に喜ぶ生徒たちに顔がほころぶと同時に、他の乗客に迷惑をかけていないかソワソワしていました(笑)

無事に、日本に帰ってくることができました。

しかし、到着が0時を過ぎていて、電車がありません。

後泊が決定しました。

後泊とは、旅行から帰着後に自宅に帰れないため、もう一泊することです。

着陸して、携帯電話の電源を入れると、ケアンズにいる営業担当者からのメッセージが届いていました。

  • 到着口に日本の旅行会社の社員が待機していること。
  • 迎えが来ている生徒は、家族に連れて帰ってもらうこと。
  • 家族が迎えに来られない生徒は、空港内にあるホテルに宿泊してもらうこと。
  • 翌朝、朝食終了後に解散とすること。

この営業担当者は、私が尊敬してた社員の一人で、仕事が早くて対応がきめ細やかな人でした。

日本の社員に、ご家庭に連絡する際、迎えに来れるか、後泊するかを確認させていました。

疲れた添乗員に余計な負担をかけさせないように、準備万端で的確な指示にさすがだなと思いましたね。

さぁ、もうひと頑張りです。

到着口の社員数名と合流して、生徒をホテルに誘導します。

先生方にもホテルでもう一泊してもらうので、ご案内します。

何とか150名の生徒全員を割り振ることができました。

終わった時には夜中で、もうヘトヘト。とりあえず寝ます。

解散!お疲れでした。

7時の朝食バイキングに生徒を誘導するために、20分前スタンバイです。

「寝てなくない?」と思った方、正解です。

数時間の睡眠でしたが、あの頃の私はまだ若かった(笑)

生徒も朝早くに起こされて気の毒でしたが、朝食を済ませてもらいます。

ホテルに滞在していたのは、半数の70名程度だったので、誘導もラクでしたね。

朝食後、荷物をまとめてチェックアウトします。

忘れ物がないように確認しながら、生徒を送り出しました。

最後に、先生に挨拶を済ませて、任務完了!お疲れさまでした。

オマケ

実は、ケアンズ滞在中に、別のトラブルがありました。

修学旅行では、国内・海外問わずよくあることなのですが、体調不良を訴える生徒がいます。

保健の先生が同行している場合が多いので、現地ガイドと一緒に病院に連れていきました。

その場の支払いは現地ガイドに任せて、最終的には、生徒の旅行傷害保険を利用します。

大きな問題がなく、その後は生徒も楽しんでくれていましたよ。

まとめ

海外での飛行機トラブル体験記をご紹介しましたがいかがでしたか?

幸運なことに、私は飛行機トラブルにも天候トラブルにも遭遇する確率は低い添乗員でした。

引きの強い?添乗員は、よくトラブルに巻き込まれていました。

トラブルに遭遇しないに越したことはないですが、いざという時に対応できる知識や経験は、身につけておく方がいいと思います。

基本、添乗員は一人ですが、一人で仕事しているわけではありません。

旅行会社の担当者や、関係各社のスタッフが必ず助けてくれます。

焦ってしまうこともあると思いますが、安心して笑顔を忘れないようにしましょう。

お客さんは、常に添乗員を見ています。添乗員の不安は、お客さんの不安に直結します。

笑顔を心がけていると、不思議と本当に楽しくなってきます。

楽しくなれば、こっちのものです(笑)

トラブル対処が楽しいと感じられるようになれば、天下無敵の添乗員になれますよ。

他にも珍しい?トラブルをご紹介しているので、ぜひご覧ください↓↓

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